日本の新型コロナウイルス感染者の推移からいま分かること

日本COVID-19の推移から分かること

新型コロナウイルス (COVID-19) 感染症は2019 年 12 月に中国で報告されてから世界中で猛威を振るっています。今回は、国内でも増加の一途を辿っている新型コロナウイルス感染者数が今後どのように推移していくのでしょうか。また、感染拡大防止に向けて様々な対策を目にしますが、介護施設など人との接触が避けられない場所での具体的な対策方法を紹介します。


新型コロナウイルス感染症の感染経路

新型コロナウイルス感染症は呼吸器感染症の 一種であり、感染した時の主な症状は咳や発熱です。感染してから発症するまでの期間 (潜伏期間) は 1~14 日で平均 5~6 日という報告があり、さらに感染しても咳などの症状が出ない不顕性感染のケースも報告されています。潜伏期間中・不顕性感染のいずれにおいても他人へ移してしまう可能性があり、知らない間に感染拡大の片棒を担がせられる恐れがあります。

飛沫感染

飛沫感染とは、「咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染する」ことです。新型コロナウイルス感染者が咳やくしゃみをしたときに出るしぶきの中にはウイルスが含まれています。新型コロナウイルスに感染していない人がウイルスが含まれているしぶきを吸ってしまうと体内にウイルスが侵入する恐れがあります。

接触感染

「感染者もしくは感染源に直接接触して感染する」ことを接触感染と言います。コロナウイルスに感染している人がくしゃみや咳を手で押さえた場合、その手にはウイルスが付着しています。そして、ウイルスが付いたままの手で触ることでウイルスが付着した場所 (ドアノブなど) を他の人が手で触ってしまい、さらにその手で口や鼻を触るとウイルスが体内に侵入する恐れがあります。

空気感染 (飛沫核感染)

空気感染は「空気中を漂う微細な粒子 (飛沫核) を吸い込むことにより感染する」ことで、空気感染とも呼ばれます。現在流行している新型コロナウイルスが空気感染によって伝播したという症例は報告されていませんが、空気感染の可能性を完全に否定できない研究結果も報告されています。


感染者数の推移

世界

2019 年 12 月以降、中国を発端に感染者数が世界中で膨れ上がっています。特に、アメリカは累計感染者数が 2020 年 3 月 26 日に中国を上回り感染者の数が最も多くなりました。いくつかの国では緊急事態宣言が発令されて外出がかなり厳しく制限されていますが、感染者数は増え続けているのが現状です。一方で、緊急事態宣言が発令された地域では発令から 1 ヶ月ほど経つと新規患者数は減少傾向となり、外出制限の実施が新型コロナウイルス感染症終息に一定の効果はあると言えそうです。ちなみに、欧米では新型コロナウイルスの抗体を検査する流れになってきており、これはワクチン開発と同様に集団免疫の獲得に向けた動きだと考えることができます。

日本

では、日本の場合はどうでしょうか?日本で最初に新型コロナウイルス感染症患者が確認されたのは 2020 年 1 月 16 日で、その約 3 ヶ月後 (4 月 18 日) に累計感染者数が 1 万人を超えました。その間、7 都府県に緊急事態宣言が発令 (4 月 7 日) された直後の新規感染者数は増加し続けていたものの、発令から 2 週間ほど経つとその数は減少傾向を示し始めました。


感染予防

外出自粛をすることが感染拡大防止に対して最も効果的です。しかし、介護施設など閉鎖が難しい施設の方やスーパーに食料品を買いに行く人が少しでも感染するリスクを減らすためには具体的にどのようにすれば良いのでしょうか?

正しくマスクを着用

不織布マスクの場合は、商品の種類にもよりますが通常のウイルスほどの大きさでもフィルターで捕集できるという報告があります。つまり、マスクで鼻と口を覆うことができればそこからの感染は限りなく防ぐことができるということです。マスクを着けるときは鼻から顎まできちんと覆い、鼻の形に合わせてワイヤーを折りましょう。人と接する際には正しくマスクを着けることで、自分と相手の両者にとって感染防止に繋がります。

手洗い・うがい・消毒

新型コロナウイルスは残念ながら目視で確認することは非常に困難です。自分自身は十分気をつけているつもりでもいつウイルスと接触するか分からないため、人と接した時や帰宅後は特に手洗いとうがいをすることをおすすめします。手洗いは水のみで済ませるのではなく石鹸を用いた方がより効果的です。介護施設など常時不特定多数の方との接触がある場合は、ドアノブやエレベーターのボタンなどよく触れる場所を頻回に消毒することは感染拡大防止に効果的です。また、中国の病院では靴底に付着したウイルスが原因で院内感染を引き起こした例が報告されています。したがって、施設内に入る時はスリッパに履き替えるなどの対策も有効かもしれません。

密をさけた行動

どのような感染経路からの感染を防ぐとしても密閉空間・密集場所・密接場面のいわゆる「3 密」を避けることが最も有効な手段と言えます。3 密の回避を多くの人が徹底することで感染拡大を抑えることができます。施設内で同時に数人が食事をする必要がある場合には、隣や向かいには座らずに可能な限り人との距離を保つことが重要です。飛沫感染の原因となる感染者からのしぶきが飛ぶ距離は 2 m ほどであり、可能な限り 2 m 以上人と間隔を確保することが飛沫感染予防には重要です。


いつまで続くか

緊急事態宣言発令後も新規患者数は増加していますが、これは発令前に既に感染していた人が大半を占めるでしょう。では、新型コロナウイルス感染症はいつまで続くのでしょうか?2020 年 4月 22 日に行われた新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、人との接触を 8 割削減する生活をつづけた場合、緊急事態宣言発令から約 1 ヶ月で新規感染者数の十分な減少が期待できると報告しています。一方で、接触機会の削減が 8 割に満たなかった場合は、新規感染者数の十分な減少により長い期間を要してしまいます。


さいごに

新型コロナウイルス感染症をより早期に終息させるためには日々の感染防止対策が欠かせません。人との接触が避けられない場合には、自分と相手の両者を守ることを心掛けて行動することが大切です。ひとりでも感染者数を減らし、少しでも早く新型コロナウイルス感染症に影響されない日常を過ごせるよう感染予防をしていきましょう。

【参考資料】

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新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 (2020) “新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言 (2020 年 4 月 22 日)

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