幼児が新型コロナウイルスに感染するリスクは変わらないのか

幼児がCOVID-19に感染するリスク

新型コロナウイルスの子どもの感染リスクについて様々な情報が飛び交い、その情報は日々変化しています。子どもは感染リスクが低い、重症化しにくいと囁かれていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。今回は、幼児の感染リスクや感染力などについて考え、幼児と過ごす時間のある家庭や事業所における対策や家族・スタッフにできることなども併せて紹介します。


本当に幼児の感染リスクは少ないのか?

新型コロナウイルスの感染者数は世界的に大人より子どもの方が少ないと言われており、中国では感染者全体 (55,924 名) のうち小児の感染者は 2.4% ほどです (令和 2 年 2 月 24 日現在)。日本でも同様の傾向を示しており、各年代ごとの人口に対する感染者数と総感染者数に対する感染者数のいずれも 10 歳未満の年代の割合が最も低くなっています。一方で小児は大人と比べ、感染者と接する機会が少ないことや無症状の場合が多く、検査実施に至っていない可能性が指摘されており、これが小児の感染者数が低い要因として挙げられています。つまり、感染者との接触回数が低くすることで感染する機会が低いことにはなりますが、残念ながら幼児は大人に比べて感染しにくいとは言い切れません。


幼児の感染力とはどれくらい?

ヨーロッパでは、新型コロナウイルスに感染した生徒が陽性判定が出るまで感染していることに気付かず学校に通い続けたとしても、学校内において感染が拡大しなかったことが報告されています。したがって、保育園や幼稚園内では幼児から幼児または幼児からスタッフへの感染拡大は、スタッフから幼児へ移すより可能性が低いと考えられます。


幼児の感染源は主に家庭内にある

日本も含め世界中で幼児の感染者は確認されていますが、その多くは家庭内感染によるものです。家族に感染者が出た場合、小児と大人が二次感染する確率は同じもしくは小児の方が低いという報告があります。小児が大人と比べて罹患率が低いとはいえ、感染する可能性はゼロではないため、子どもが感染しないために家庭内での感染予防が重要だといえます。


大人に比べて症状が乏しい

小児が新型コロナウイルスに感染した場合、大人に比べ軽症のケースが多いことがわかっています。理由として、新型コロナウイルスが体に侵入するときの仕組みが関係していると言われています。6 歳未満に絞った場合もその傾向は変わらず、ほとんどのケースで無症状もしくは軽症でした。小児が新型コロナウイルスに感染した時の主な症状は発熱と咳で、腹痛や下痢など引き起こすこともあります。子どもの場合、正確に症状を伝えることが難しいこともあるため、大人が子どもの体調を細かく把握しておく必要があります。


重症化するリスクは?

持病を抱えるお子さん

新型コロナウイルスに感染にしても重症化しにくい傾向にある子どもですが、小児ぜんそくなど呼吸器系疾患を患っている子どもが感染すると重症化する恐れがあります。また、呼吸器系疾患以外に糖尿病や循環器系疾患を持つ子どもは、大人と同様に重症化するリスクが高い可能性があるため、十分な感染予防と持病の管理が必要です。

乳幼児は注意

特定の基礎疾患がない場合は年齢が低いほど重症化するリスクが低いというわけではなく、小児の中でも乳幼児は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい傾向があります。呼吸器系の発達が完全ではないことが乳幼児の重症化する一因として推察できます。


幼児を感染させないためにできること

家族・家庭内

幼児の感染を防ぐためには大人と同じ感染対策が必要です。普段過ごす空間はこまめに換気し、食事や外出前後は手洗いをしましょう。また、おもちゃなど子どもが良く触れるものは普段以上に消毒しましょう。子どもから感染拡大する可能性は低いと言われていますが、家庭内で感染者がでた場合は濃厚接触者として幼稚園や保育園への登園は控えるようにしてください。

保育所等の事業施設

施設への受け入れ人数を制限することは重要な感染対策ですが、それだけでは十分とは言い難いです。施設内の子どもが過ごす空間やおもちゃなど、手に触れるものは消毒用エタノール (76.9~81.4vol%) または次亜塩素酸ナトリウム液 (0.05%) で清拭し、施設へ入る際は十分な手洗いを行いましょう。アルコール消毒に関しては、エタノール濃度が低いと十分な効果が得られないので注意してください。子どもだけでなくスタッフに対しても検温の実施や体調変化の有無など聞き取りをして、施設内にいる全員の体調を把握しておきましょう。また、施設内で感染者が発生した場合の感染対策マニュアルを立て、スタッフ全員に共有しておくことが感染拡大防止に有用です。


幼児を守るためにまずは大人の感染対策を

子どもの主な新型コロナウイルスの感染源は大人です。つまり、子どもと接する機会の多い家庭内の大人や保育施設のスタッフが感染対策を行い、周囲の感染者を減らすことで子どもを守ることができます。各個人の感染予防が、大切な子どもの身を守ることに繋がっていることを意識して十分な対策をしましょう。

参考資料

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