集団生活において新型コロナウイルス感染症の症状が出たときに心がけること

新型コロナウイルス感染症の症状が出たときは…

新型コロナウイルス感染症が蔓延している中、営業自粛やテレワーク、3密を避けるなど様々な感染対策が行われています。しかし、介護施設など集団生活を避けられない施設もあり、それぞれで対応しなければなりません。今回は、集団生活を行う施設で症状が出たときの対応や日々の活動の中で心がけること、感染対策について確認していきましょう。


新型コロナウイルスの症状

初期症状

新型コロナウイルスに感染した場合、最初に現れやすい症状は発熱・咳・倦怠感・呼吸困難 (息苦しさ) です。その他にも、筋肉痛・下痢・頭痛・動悸・味覚や嗅覚の障害・結膜炎様症状などが起きる場合もあります。帰国者・接触者相談センターへ連絡する目安として、4 日以上続く発熱 (37.5 度) もしくは強いだるさ・息苦しさを挙げています。高齢者もしくは糖尿病などの基礎疾患がある場合はより早い段階での連絡を推奨しています。

重症化した場合

厚生労働省は重症者を「集中治療や人工呼吸器を要する管理が必要な患者」と定義しています。肺もしくは全身でウイルスが増殖することで激しい炎症反応が起きてしまうと呼吸不全 (急性呼吸器症候群) に陥る、つまり重症化することがあります。軽症者でも突然重症化することがあり、重症化する危険性が高い時の症状として唇が紫色に変化したり胸に痛みを感じるなど 13 の症状が挙げられていますので、これらは常に気に留めておく必要があります。


症状が現れたらどうすればよいか

まずは保健所や保健センターへ連絡

施設内で感染者が出たもしくは施設に出入りする人の中に濃厚接触者がいた場合には速やかに保健所へ連絡する必要があります。感染者や濃厚接触者の対応を決め、共用スペースなど当該者が使用した場所を消毒用エタノールまたは次亜塩素酸ナトリウム液 (0.05%) で清拭します。

個室があれば移動する

入居者が感染した場合は原則入院となりますが、自治体によっては施設内で経過観察を行う場合もあります。その時、感染者は個室へ移動して可能な限り感染拡大を防ぐことが必要となります。

濃厚接触者も個室へ

スタッフが濃厚接触者となった場合は自宅待機となりますが、入居者の場合は施設内で対応する必要があります。該当する入居者は原則個室へ移動し、個室が足りない場合は症状のない濃厚接触者を同室にします。同室が避けられない場合は、飛沫感染を防ぐためにベッドを 2 m 以上離して設置するなどの対応が必要です。

関わるスタッフを限定する

施設内での感染拡大を防ぐためには、感染者や濃厚接触者の対応を行うスタッフを最小限に抑えることが重要です。さらに、使い捨て手袋とマスクの着用や手指消毒など感染防止対策を欠かさず行いましょう。


集団生活で気を付けるべきこと

利用者・スタッフともに日々の体調確認を行う

どこで感染するか分からない状況が続いているため、ひとりひとりの体調を細かく把握しておく必要があります。これは入居者だけでなくスタッフも同様です。体温測定をこまめに行い、だるさや息苦しさがないか定期的に確認しましょう。体温計は感染者・濃厚接触者とそれ以外の方で分けることをおすすめします。

食事が感染するリスクが高い

普段はマスクをしていても、食事をしている間はマスクを外しているため感染するリスクが高くなります。感染者や濃厚接触者は原則個室で食事を摂るようにし、食事前後の手洗いを徹底しましょう。できるだけ食事の時間を短くし、接触する時間を短縮するよう心がけてください。また、使う食器は使い捨て容器もしくは自動食器洗浄器を使用することで感染リスクを下げることができるかもしれません。それ以外の入居者は密集を避けて食事を摂るようにしましょう。

リハビリテーションなどは同時間帯の人数を減らす

まず、感染者や濃厚接触者のうち症状が出ている人はリハビリテーションを実施しないことが原則です。症状のない人は人数制限などをした上でリハビリテーションを行い、実施後は手洗いや使用した器具の消毒を徹底しましょう。


介護施設における感染症対策

面会や立ち入りを制限する

感染症から入居者やスタッフを守るだけでなく、地域住民への感染拡大を防ぐために施設への立ち入りを制限しましょう。給食サービスなど利用している場合も可能な限り接触を避ける必要があります。

廃棄物の処理を徹底する

廃棄物の中でも、マスク・手袋や感染者や濃厚接触者が触れた可能性のある廃棄物が感染性廃棄物として適切に処理をしましょう。誤って一般廃棄物として処理してしまうと、回収業者が感染のリスクにさらされてしまいます。また、リネン・衣類は必要に応じて熱水洗濯機の使用や次亜塩素酸ナトリウム液への浸漬処理などしてください。

スタッフ間での情報共有を密に行う

新型コロナウイルス感染症に関する知識を周りに共有することで、施設全体の感染対策を行うことができます。厚生労働省などから発表された最新の情報を掲示するなどして、スタッフ全員が情報を得られる環境を整えましょう。


いつ自施設に来るかわからない事態を想定した準備が大切

事前に新型ウイルス感染症に対する対策を立てておくことで、施設内で感染者や濃厚接触者が出た時に素早く対応することができます。感染拡大防止には初期対応が非常に重要となりますので、いつ当事者となっても良いように準備をしておきましょう。

参考文献

Kui Liu et al., (2020) “Clinical Characteristics of Novel Coronavirus Cases in Tertiary Hospitals in Hubei ProvinceChin. Med. J.,10. doi: 10.1097/CM9.0000000000000744

Cheng-Wei Lu et al., (2020) “2019-nCoV Transmission Through the Ocular Surface Must Not Be Ignored”  Lancet, 395 (10224):e39. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30313-5

日本耳鼻咽喉科学会 (2020) “嗅覚・味覚障害と新型コロナウイルス感染症について―耳鼻咽喉科からのお知らせとお願い―

厚生労働省健康局結核感染症課 (2020) “新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 (2020) “新型コロナウイルスの患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制等の検討について (依頼)

Nanshan Chen et al., (2020) “Epidemiological and Clinical Characteristics of 99 Cases of 2019 Novel Coronavirus Pneumonia in Wuhan, China: A Descriptive StudyLancet, 395 (10223): 507-513. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30211-7

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 (2020) “新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における健康観察における留意点について” 厚生労働省健康局結核感染症課 (2020) “社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について (その2)

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