マラウイ共和国COVID-19レポート 2020/04/17

2020/04/17(金)現在:マラウイ-コロナウイルスレポート

対象国

アフリカ マラウイ共和国
人口:1,913万人(2020年 国連発表)
首都:リロングウェ(Lilongwe)

マラウイでの感染者数・死亡者数

※感染者数に死亡者数が含まれています

  • リロングウェ(Lilongwe) 人口:646,750
    感染者:6人 死亡者:1人
  • ブランタイヤ(Blantyre) 人口:584,877
    感染者:8人 死亡者:1人
  • チクワワ(Chikwawa) 人口:6,987
    感染者:1人
  • コタコタ(Nkhotakota) 人口:24,865
    感染者:1人

計 感染者:16件  死亡者:2人

アフリカでの感染者集・死亡者数(感染者数上位4カ国)

  • 南アフリカ共和国
    感染者:2,605 回復者:903 死亡者:48
  • エジプト
    感染者:2,673 回復者:596 死亡者:196
  • アルジェリア
    感染者:2,268 回復者:783 死亡者:348
  • モロッコ
    感染者:2,283 回復者:249 死亡者130

政府・自治体による対策

マラウイのみならず、アフリカ各国は自国で感染者が発見されるより前、または感染者がかなり少ない段階から他国の先例を参考に早めの対応を行ってきています。
マラウイでの4月3日に国内で初めての感染者が報告されましたが、マラウイ政府は3月21日に国家災害宣言(state of disaster)が行われ、以下の施策が実施されました。

  • 保健省による国境のスクリーニング強化
  • 国際会議等を停止し、感染国の主催する会議等への公務員の出席を禁止
  • 感染国への不要不急の移動を避ける
  • 公立私立すべての学校、大学に対し3月23日から休校
  • 集会(結婚式、葬式、教会、集会、政治集会などを含む)を100人以下に制限
  • 高感染国からの外国籍者の入国を禁止
  • 高感染国からマラウイに帰国した居住者とマラウイ人は自主隔離か当局による隔離対象とする
  • 新型コロナウイルスの高感染国の国民へのビザ発給を一時的に停止
  • 無期限で国内の公立・私立の学校全てが閉鎖

医療機関には以下の要請が出されています。

  • 病院への訪問者をランチタイムの1時間に制限
  • 1人の患者に対して1人の付添人のみとし、保護者には許可証を発行する
  • 付添人は病棟の外で食事をする
  • 病棟内の混雑を避ける為、付添人は患者の家族、近親者、訪問者と病棟の外で面会する
  • 病棟内の混雑を避ける為、回復者がすぐに退院できるように院内巡回を定期的に行う
  • 病院管理者はPPE(個人保護具)を常に利用可能にしておく

首都リロングウェをはじめ、ブランタイヤ、ムズズなど各都市の主要医療施設で感染者の受け入れ体制が進められています。しかし、隔離病棟の設置や検査環境の整備が行われていますが充分とは言えない状況のようです。
人工呼吸器の数で言うと、リロングウェに5機、ブランタイヤ、ムズズ、ゾンバに各4機で、計17機しかありません。これから支援や再投資によって設備・機器の増加は考えられますが、肺炎が重症化した際に治療できる人数は相当限られています。

また、PPE(個人防護服)の準備や労働環境は万全ではないようで、国内で二番目に規模の大きいブランタイヤにあるクイーン・エリザベス中央病院(Queen Elizabeth Central Hospital)では、PPE不足や労働環境・待遇改善を訴え、医療従事者によるストライキが4月14日に行われました。その後に、海外支援団体から医療設備の提供が決まっていますが、一部の医療従事者が4月16日に再度、危険手当の改善などを求めてストライキを行いました。また、政府は2,000人の医療従事者の新規雇用を発表していましたが、現時点で人員が増えていないという事も併せて訴えています。

商業施設に対しては以下の要請が出されています。

  • 手洗い、消毒設備の設置する
  • 訪問者へ手洗い、消毒を実施させるための人員配置する
  • 従業員のマスク着用する
  • 訪問者がどこから来ているのか確認する
  • 風邪の症状を早急に発見し、マスクを提供する
  • 熱と咳がある場合は自宅で待機する
  • 感染国から戻ってきた人と接触した場合、直ちに保険当局へ知らせる
  • 手袋は使用せずに、手のアルコール消毒を行う(スーパーマーケット)

実際にブランタイヤ市内の高級スーパーマーケットに訪れた際には(3月20日時点)、入り口での客さんの手洗い所の設置とスタッフ配置がしっかり行われていました。私が訪れた時点では全従業員のマスク着用は行われていませんでした。

マラウイでは75%がキリスト教徒で、多くのマラウイ人が週末には教会へ行きます。教会での集団感染を懸念し、教会へも以下の要請が出されています。

  • 混雑を避け、教会内の人数を100人未満にする
  • 教会の催し時間をずらし、少人数で行い、可能であれば屋外で行う
  • 教会内で座る場合、1メートルの社会的距離を保持する
  • 大規模な集会、結婚式、洗礼式を一時中止する
  • 水と石鹸の手洗い場かアルコール消毒設備を設置

通常ですと中規模の教会であればどの教会もゆうに100人を超える人が週末に集まります。教会での現地の状況について、首都リロングウェの中でも大きな教会の一つであるリクニ・パリッシュ・カトリック教会(Likuni Parish Catholic Church)の管理者に状況を聞くと、当教会には3,000人が集まるとの事なのですが、この教会ではは集会の回数増やして、毎回の実施人数を100人に制限しているとの事でした。

都市部で人が密集する場所の一つとなる、銀行に対しても以下の要請が出されました。

  • 可能な限り電子決済を推進する
  • 処理スピードを上げる為、窓口の人員を増やす
  • 入口にアルコール消毒設備を設置する
  • 守衛は全員が入行時に消毒している事を確認する
  • 行内の人数を制限する
  • 行員はマスクを着用し、紙幣を扱う際は使い捨て手袋を使用せずに、アルコール消毒を行う
  • 列では可能な限り1mの間隔を空ける
  • ATMに手洗い消毒を設置し、定期的にATMをふき取る

実際にブランタイヤにあるスタンダード(Standard Bank)銀行のブランタイヤ支店へ訪れると、上記施策はほぼ行われていました(3月20日時点)。列の1m間隔は、まだお客さんの意識の低さもあり、徹底はされていませんでした。行員はビニルの手袋を着用してはいましたが、お金を扱うたびに消毒スプレーを手にかけており、かなり対策されている印象でした。

上記以外の政府要請としては、3/28に、4/1以降に国境を超えるバスの運行が禁止されました。市内や都市間を運行するミニバスについても、乗員数が15人から8人に制限される事になります(実際には15人ではなく、16~20人くらいが乗ります)。この制限を受けてミニバスの料金が値上げされています。

4月14日にマラウイ政府が全国に対して、4月18日~5月9日までロックダウンを行う旨を発表しました。主な規制内容は以下のようになっています。

  • ローカルマーケットの営業を午前6時~午後2時に制限
  • 自治体が必需品の販売者に販売許可を与える
  • 必需品販売者以外の移動を禁止し、必需品購入の為の移動も制限を受ける
  • 遠方への必需品購入には自治体の許可が必要
  • バー、クラブなどの娯楽施設の営業停止
  • スポーツイベント、結婚式などの集会の停止
  • 葬式は社会的距離を保ちつつ、50人以下で実施し、可能な限り短時間で行う
  • レストランなどは持ち帰りを除き営業停止し、医療施設居住者は自室での食事提供とする。施設内の食事は閉鎖された部屋では行わない
  • 公共交通機関は、緊急での必需品販売従事者と必需品の運搬にのみ運行が限られ、午前5時~午前9時と午後4時~午後7時の運行とする
  • その他、自家用車、団体車両は無許可での利用は禁止
  • 農業・酪農については特定の時間内のみ厳しい衛生条件の下行う
  • 規制の徹底の為にマラウイ軍とマラウイ警察が配置される
  • 違反した者は20,000クワチャ(約3,200円)の罰金刑に加え,禁固3ヶ月の刑罰が科される

マラウイは最貧国の一つとされている通り、経済的にかなり脆弱な国になります。農村部だけでなく、都市部でも低所得者が多く、その日生活するためのお金を稼ぐ商売人がたくさんいます。このような日本で言うところの個人事業主のような方々を中心に、このロックダウンの宣言を受けて、4月16日にムズズやブランタイヤで事業者によるデモが行われています。既に政府は、希望者へ6カ月間の延滞金無しでの納税延滞を実施する旨を発表していますが、同日夕方のニュースでは、政府からロックダウンによる経済的ダメージを軽減させる施策を実施する事が発言されています。

民間・個人レベルでの対策意識

今となってはかなりCOVID-19についての感染対策である、石鹸手洗い、社会的距離の保持、人の多いところに行かない、マスクの着用などの「知識」は広まってきているように感じますが、それが「実践」できているかどうかは別のように見えています。

マラウイでも他の途上国と同じように、国内での貧富の差がとても大きいです。当然ながら、テレビ、スマホなどで情報を大量にいつでも手に入れられる中~高所得者はほぼ対応ができる環境にはありますが、実践しているかどうかは個々の意識に依る状態で、これは日本と同じだと思います。ただ、日本と違うところは、偽情報がSNSを介してかなり出回っており、「布マスクは全くウイルスを止められないうえに、菌が繁殖するので使ってはいけない」、「お湯を飲むと感染しない」というような情報をFacebookで見かける事がありました。

偽情報という点で言うと、低所得者や特に農村部になると、情報源がラジオや人からの「噂」がメインとなります。ラジオでは連日COVID-19の情報について流れているのですが、口伝の情報で「コロナウイルスにかかると感染者は皆死ぬ」、「感染者は殺さなければならない」というような、かなり突飛な話を中堅都市部でさえ実際に耳にしました。

マスクについては、マラウイも他の諸外国と同じようにマスク着用をする習慣はありません。私がマラウイから帰国した頃(3月下旬)では、中国人がマスクをしていたり、店舗従業員がマスクをしているのをみかけることがありましたが、それ以外の一般のマラウイ人や都市部の繁華街以外の場所でマスクをしているマラウイ人を見る事はありません。現時点でもリロングウェにいる知人(マラウイ人)の話によると、街の中でマスクをしている人はあまり見ないと言っていました。

正しい情報の伝達や習慣変容が難しいという点もありますが、正しい知識や情報が低所得者や農村部にも届いたとしても、経済的に実施できないという大きな問題があります。使い捨てのマスクはもちろん手に入りませんし、あったとしても購入する事はできません。石鹸は安価で手に入りますが、限られた家計から石鹸購入へ支出をするのは少々ハードルがあると思います。経済的に常に余裕のない状態の人が多いので、ロックダウンや人混みを避ける為に経済活動ができないとなると、死活問題になります。ロックダウンはCOVID-19の抑え込みに有効だとされていますし、一方、経済がすぐに崩壊してしまうような状態ですので何とも悩ましい状況ではないかと思います。

マラウイのCOVID-19対策における問題点

対策と現状をお知らせしてきましたが、国単位での大きな問題としては、医療機関の感染者対応能力が低いというのがあると思います。諸外国、NGOなどから多くの支援が届いてきてはいますが、未だ充分な状態ではないようです。全国で人工呼吸器は17台しかありませんし、医療従事者用のPPEも充分にないと言われています。以前より医者不足が叫ばれ続けているマラウイですが、政府が現在募集している通り、これから医療従事者不足になる事も予想されています。

国の財政としても、経済活動の鈍化と対策費用によって、IMFより途上国へ負債の返済猶予の発表がされましたが、かなり厳しい状況になるのではないかと考えています。

民間レベルでは、まず感染予防の啓発が特に低所得者や農村部を中心に必要となります。それと同時に、マスクは個々で布を利用して用意できるのではないかと思いますが、日々使用する石鹸は家計を圧迫する事が予想されます。また、経済活動が難しくなる状況が続くことが想定されますので、マラウイ政府が検討しているように、低所得者への経済的な援助か食料援助が必要になるのではないかと考えます。

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ライフガーディアンズ運営事務局のメディアチームです。 新型コロナウィルスをはじめとした感染症、防災に関する記事を世界中より取り寄せ、日々記事にまとめています。

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